これからの学習を根本から覆す「反転学習(反転思考)」とは

反転学習を効果的に使うことで仕事の生産性が向上する

これまでの学習メソッドを根底から覆す”反転学習”について紹介したいのですが、そもそも反転学習という単語についてあまり聞きなれない方が多いのではないかと思います。

ここでは反転学習がいったいどんなものなのか、そしてどのようなメリットがあるのかについて解説したいと思います。

ちなみに”学習”や”授業”と聞くと学生に必要な方法論の話かな、と思うかもしれませんがこのメソッド(考え方)は非常に応用が効くもので、ビジネスパーソンにとっても極めて重要なエッセンスが含まれています。

例えば、会議・ワークショップ・読書・自己啓発など、あらゆるシーンで有効な手法でありぜひキャッチアップしてほしいお勧めの学習スキームですので紹介させていただきます。

目次

反転学習の概要

まず、学習の工程を「①前工程(予習)」「②メイン学習」「③後工程(復習)」に分けて考えてみましょう。
従来型の授業や学習方法では、”②メイン学習”→”③後工程(復習)”に重きを置かれていたのではないでしょうか。

従来は後工程を重視し、復習することで定着させていた
従来の学習:貴重なメイン学習の場のほとんどをINPUTで終わらせていた

授業などの当日はあくまでINPUT中心で、復習でその知識を定着させるというものです。今のように動画が普及していない時代においては予習でのキャッチアップには限界があり、どうしても授業当日に説明(INPUT)が必要だったことが従来型の学習スタイルが定着した背景にはあります。

また、世界は今ほど複雑ではなく、決められたことを知識として装着しておくことが重要なファクターでもありました。そうしたことが背景にあり、MBAを始めとしたフレームワークや戦略の定石(セオリー)が流行り、時代を席捲してきたわけです。

しかし、VUCAと呼ばれる不確実性が極めて高く先が見通せない時代、つまり現在では知識ベースではなく「問いを立てる力」や「複雑な問題を解決する力」が重要と言えるようになりました。

そのため、知識を付けるのは当たり前、そのうえで「あなたはどう考えるか?」であったり「他者とのディスカッションを通してイシューを昇華させる」といった正解のない難題を思考するような学習にシフトしていく必要があるのです。

それが以下の図になります。

反転思考は、事前にインプットするため当日は思いっきり議論に使うことができ、深い考察を得ることが出来ます
反転学習:知識は事前に習得し、貴重なメインの場は深堀りに充てる

反転学習では、前工程で知識習得を前提としています。さらに「ただの予習」とは大きく異なる点として、「仮説」を持ち込むという点があります。

事前にINPUTしたうえで、「自分としての解釈はこうだ」「メイン学習当日に何を質問しようか」「仮説を他の参加者にぶつけてみよう」という準備までしたうえで当日を迎えるということです。
すると、メイン学習当日は、事前説明など一切必要なく、時間を思う存分に使ってディスカッションしたり考察したりできるわけです。

想像しただけでも圧倒的な違いが見て取れるのではないでしょうか。

反転学習の応用

この反転学習ですが、すでに一部の高等教育の世界では反転学習が適用されており、その効果も目に見えて出ていることが分かっています。また、テクノロジーの発達により非常に臨場感のある学習コンテンツを簡単に作成して配布できるようになったため、予習の質が上がってきていることも後押ししているのです。

しかし、授業のスキームが一部変わってきている一方で、私たちビジネスパーソンの考え方はいまだに従来型から脱却できていないことに気が付いていない、という現状があることを強く懸念しています。

冒頭でもお伝えした通り、反転学習は学生や授業に対するスキームの話ではありません。INPUTとOUTPUTを伴うあらゆる事象に対して効果があり、必要なことなのです。

わたしたちは、この反転学習を応用したフレームを「反転思考」と呼んでいます。

会議での活用

例えば、会議を例に解説すると、これまでは会議には手ぶらで参加し、当日にインプット+議論、そして宿題やペンディングを持ち帰るというスタイルが多かったのではと思います。

会議に反転思考を装着し、以下のような運用に切り替えてみてください。

  • 事前に会議資料は全員が目を通し理解度の目線を揃えておく。
  • さらには事前に質問も収集しておく。
  • 会議当日は「説明」ではなく「論点に集中したディスカッション」に全振りする。

すると、会議は極めて生産的になり事前質問への対応もできる、ペンディングもほとんどありません。意思決定のスピードが格段に上がり、事業としてもグロースするわけです。

読書での活用

続いて読書はいかがでしょうか。

読書って基本的にジャケ買いか口コミなどの評価をみて買うことが多いのではないでしょうか。
その気持ちがとても良くわかります、新しい書籍を読むときは本当にわくわくしますよね。どんなことが書かれているんだろう、どんな新しい知識や役に立つ内容をキャッチアップできるだろう!と。。。

  • 読書の前工程で、タイトルや導入文から、どんな内容かを想像する。
  • そして自分はこの本から何を得ようとしているのかゴール設定をする。
  • 論点があるとしたら自分なりの仮説をもってから読む。

そうすることで、読書が「ただの知識の習得から意味のあるもの」に進化します。

僕はこれを読書3.0と呼んでいます笑

読書1.0

知識を習得する、理解する。

読書2.0

自分の仮説の答え合わせをして、知識をアップデートする。

読書3.0

仮説や論点を読書を通して、「問い」に昇華させ自分なりの解釈を描く。

いかがでしょうか。

応用できるのは会議や読書だけではありません。あらゆることに反転思考は有効です。ただ、ここまで読むと分かる通り、めちゃくちゃ面倒くさいという点がなかなか浸透しない原因でもあります。

会議にしろ読書にしろ、手ぶらで挑んだ方が圧倒的に気楽ですよね、事前に仮説を考えてから何かに取り組むなんて、本当にしんどいと思います。
こんなことやっている人いないですよね、と思うかもしれませんが、だからこそチャンスなんです。やっている人が少ないからこそ自分のものにしてしまえば圧倒的な差がつくはずです。

さて、こればっかりは習慣にするしかありません。習慣化の方法やメリットについては別の記事で書きますが、反転思考を習慣化できた際には、これまでとは全然違う世界やキャリアが広がることを自信をもって断言できます。大変ですが、それぐらい本質的に重要なメソッドです。

反転学習の効果

ここまで説明してきた通り、反転学習は従来の学習の流れを「反転」させた学習法です。メイン学習前に各自が事前に学び、メイン時間は理解を深めるためのディスカッションや実践実習に使われます。これにより、参加者は自分のペースで学ぶことができ、メイン当日では深い理解を得るためのサポートを受けられます。

そのため反転学習の効果は、当事者の自主性を高め、理解を深めると言われています。また、レクチャー側は参加者一人ひとりの理解度を把握しやすくなり、個々のニーズに対応(個別化)した対応が可能になります。

事例として、ある大学で反転学習が導入された結果、学生の成績が向上し、学生からのフィードバックも良好であり、学生は自宅で教材を学ぶことで、授業での理解が深まり授業への参加意欲も高まったと報告されています。

反転学習の効果についてもう少し補足いたします。

  • 当事者の自主性の向上
    反転学習は、当事者が自分のペースで学習を進めることを可能にします。これにより、当事者の自主性が高まり、学習意欲が向上します。
  • 深い理解の促進
    反転学習では、メイン学習時間をふんだんに使って参加者の疑問を解消したり、深い議論を行ったりすることができます。これにより、参加者はより深い理解を得ることができます。
  • 個々のニーズへの対応
    反転学習は、レクチャー側が参加者一人ひとりの理解度を把握しやすくなり、個々のニーズに対応した対応が可能になります。これは、従来の学習形式では難しかったことで、反転学習の大きな利点と言えます。

以上のように、反転学習(反転思考)は当事者の学習効果を高め、レクチャー側の意図する効果を最大化する有望な手法です。しかし、その成功は対象の運営の質や、参加者の当事者意識などが重要であるとも言えます。

これらの要素が揃った場合、反転学習は大きな可能性を秘めています。なお、コーチングフォワードの研修やコーチングではこの反転学習を取り入れたカリキュラムを開発しています。

詳しい話をお聞きになりたい場合はぜひ問い合わせください。

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