コーチングについて学びたいという方が最近本当に多くなってきています。
目的も様々で、
- コーチとして独立したい
- 部下とのコミュニケーションをもっと円滑にしたい
- 面接で候補者への深堀り質問をうまくなりたい
- 営業でクライアントの課題を引き出したい
など、みなさんが真剣に「今よりもっとよくしたい」と考えている姿をみて、少しでもお役に立てるならと思ってこちらを執筆しています。
コーチングの本質とはずれますが、上記の課題についてはいずれも「漏れなく」コーチングの技法が有効に活用できます。
なので、プロコーチを目指したい、という方だけでなくてもきっと参考になるかと思いますので最後までお付き合いいただければと思います。
なお、Vol.1の内容についてはこちらご覧ください。
1. コーチングについておさらい
現代のビジネス環境では、変化が激しく不確実性が高いため、そこに適応できるようなリーダーシップ能力やコミュニケーション能力が特に求められます。
コーチングはこれらの能力を強化し、チーム全体のパフォーマンスを向上させる手段として非常に有効です。
調査によれば、効果的なコーチングを受けた社員は、生産性が50%、革新性が90%、エンゲージメントが150%向上することが示されているようです。
1-1. コーチングの定義
コーチングとは、クライアントが自身の目標を達成するためのサポートを提供するプロセスです。
コーチは質問やフィードバックを通じてクライアントの思考を整理し、新たな視点や行動を引き出します。ビジネスコーチングは特に、企業のリーダーや経営者が業務の効率を高め、ビジネス目標を達成するための支援を行います。
1-2. コーチングと他の支援方法との違い
コーチングはアドバイスを与えることではなく、クライアントが自身の答えを見つける手助けをすることに焦点を当てます。これにより、クライアントは自らの力で問題を解決する能力を養うことができます。
カウンセリングやコンサルティングとは異なり、コーチングはクライアントの自己発見と成長を促進するアプローチです。こちらも詳しくはvol.1で紹介していますので気になる方は読んでみてください。
2. コーチングの基本スキル
さて、ここからが本記事の本題となります。
コーチングにはどんなスキルがあり、どのような効果があるのでしょうか。それを一緒に紐解いていきましょう!
2-1. 受け止める(認める)
クライアントの存在や発言をそのまま受け止め、評価を加えずに認めることが重要です。
これにより、クライアントは自己信頼を高め、前向きな行動を起こしやすくなります。
認められると誰だって安心しますよね。そうなんです、認めることはクライアントに安心感を与え、自身の潜在能力を最大限に発揮できる環境を作り出す手助けとなります。
2-2. 共感
クライアントの話に集中し、共感を示しながら聴くことで、安心感と信頼関係を築きます。
クライアントの本当の関心事や感情を理解することが求められます。積極的な聴き方をすることで、クライアントは自身の考えや感情を自由に表現できるようになります。
この人は真剣に聴いてくれている、わかってくれている、という信頼関係ができるので、もっと話をしても大丈夫、もっと話したいという変容がうまれます。
2-3. 質問
効果的な質問を通じて、クライアントの思考を深め、新たな発見や洞察を促します。
オープン・クエスチョンや深堀り(垂直展開)、視点移動(水平展開)の技法を用いることで、クライアントの中にあるものを引き出します。
質問はクライアントの自己認識を高め、問題解決の手助けとなります。
質問がうまくなるには引き出しの多さや経験、様々な要素が必要になりますので、一朝一夕にはなかなかならない部分もありますが、でも間違いなく一歩ずつ前進できますのでご安心ください。
3-4. フィードバック
クライアントの行動や発言に対してフィードバックを行い、気づきを促します。
ポジティブなフィードバックだけでなく、ネガティブなフィードバックも適切に伝えることが重要です。フィードバックは、クライアントが自分の行動を客観的に見つめ直し、改善点を見つける手助けをします。
3. 受け止める(認める)技法の実践方法
3-1.受け止める(認める)とは
「受け止める」とは、クライアントの存在や発言を、文字通りそのまま受け止めることです。
評価や判断を加えずに、事実をそのまま伝えることでクライアントの安心感を高めます。具体的には、クライアントが達成した進歩や成長を認識し、それを伝えることが含まれます。
3-2. クライアントの存在に敬意を払う
クライアントを心から信頼し、その存在に敬意を払う姿勢を示します。
これにより、クライアントは自己信頼を深め、前向きな行動を取ることができるようになります。クライアントの意見や感情を尊重し、評価をせずに受け入れることで、信頼関係が築かれます。
さらに、クライアントの話に対して適切な反応を示すことが求められます。
うなずきや相づちを打つことで、クライアントは認められていると感じることができますよね。当たり前のことではありますが、日々いそがしくて意外とできないものだったりします。
ハっとした方はすぐに実践しましょう!
4. 共感の技法の実践方法
4-1. 共感とは
「共感」とは、クライアントの話に心から集中し、共感を示しながら聴くことです。
これにより、クライアントは安心して話すことができ、自己の考えを整理することができます。積極的な聴き方をすることで、クライアントは自身の感情や考えを自由に表現できるようになります。
4-2. クライアントに全集中する
クライアントの言葉や態度に全集中し、観察と反応を示します。
自身の問題から解放され、クライアントに対して全身全霊で向き合うことが求められます。クライアントの言葉だけでなく、その背後にある感情や意図を理解することが重要です。
全集中と聞くと水の呼吸を想起するかもしれませんが、あながち間違いではありません。呼吸さえも極めて重要なファクターでして、心身を整えクライアントに向き合うために、必要であれば水の呼吸を会得してください。
目指せ柱です!
4-3. 要約と言い換え
こちらは他の要素に比べると劣後しても大丈夫です。
要約や言い換えはわりと出来ている方も多いですし、最悪無くても、他の要素をしっかりできていることが大事です。
とは言いつつ、少し補足すると、クライアントの話を要約したり言い換えることで、その意図を明確にし、理解を深める効果があります。
これにより、クライアントは自分の考えを再確認し、次のステップに進むことができます。つまり要約と言い換えは、クライアントの自己認識を高める効果があるんですね。
5. 質問の実践方法
5-1. 質問とは
「質問」とは、クライアントの中にあるものを引き出すためのスキルです。
効果的な質問は、クライアントの思考を深め、新たな発見や洞察を促します。オープン・クエスチョンを用いることで、クライアントは自由に考え、答えを導き出すことができます。
- どう思いますか?
- いかがですか?
- 何が一番重要だと思いますか?
といった質問が効果的です。オープン・クエスチョンはクライアントの自己認識を高め、新たな洞察を促します。
オープンクエスチョンって良く聞きますが、これすごく難しいですよね。
質問しなきゃと焦っているときについついやってしまうのが、変な前置きや回りくどくなる質問です。
場合によっては特定しにいく質問もしてしまいがちですよね。
- 結果につながらないと、なかなかモチベーションが上がらないと思いますが、結果を出すために、あるいはモチベーションを上げるために何をしたらいいと思いますか?
- あと2か月しかないんですね?そこについてはどお感じですか?
こういった質問、よくしてしまいますよね。油断すると私もすぐ特定質問になりがちです。
かといって、全ての対話に対して「いかがですか?」を乱用すると、ただの「いかがですか人間」になってしまい、クライアントの目的には永遠にたどり着けません。
オープンクエスチョンにもさまざまありますのでそれを次の項目で解説しますね。
5-3. クライアントの視点を変える
クライアントの固定的な視点を移動させることで、新たな視点を提供します。
オープンクエスチョンのポイントとして、5W1Hに置き換えて聞いてみるとか、あるいは他者のの視点を使うのも有効です。
「部下はどう感じていますか?」や「親友ならどのようにアドバイスしますか?」といった質問ですね。
または時間軸をずらして「過去の自分から見たら」「5年後の自分だったらなんて言うか」そんな質問を投げかけてもいいかもしれません。
視点を変える質問は、クライアントが自身の問題を異なる角度から見つめ直す手助けとなります。
6. フィードバックの技法の実践方法
6-1. フィードバックとは
「フィードバックする」とは、クライアントの気づきを促すために、感じたことや見えたことを伝えることです。
ポジティブなフィードバックだけでなく、ネガティブなフィードバックも正直に伝えることが重要です。
フィードバックは、クライアントが自分の行動を客観的に見つめ直し、改善点を見つける手助けをします。フィードバックの目的は、クライアントの成長を支援し、自己認識を深めることです。
みなさんは仕事の中でもフィードバックは日頃からしていると思います。仕事でのフィードバックも気付きを促すという点では同じですよね。
ただ、根本的に異なる点があります。
それは「あなたの意見を述べる」フィードバックではないということです。「こう考えてみたらどう?」や「いいと思う」もあなたの意見です。
あくまで、あなたが見えた事実だけを伝え、クライアント自身が気づきに向かうことを信じてくださいね。
6-2. フィードバックのタイミング
フィードバックは、クライアントが堂々巡りをしている時やセッションの区切りに行うと効果的です。
また、連続した質問の後に緊張をほぐすためにも使用します。フィードバックのタイミングを見極めることは重要であり、適切なタイミングで行うことで、クライアントに強い印象を与え、効果を最大化することができます 。
おすすめは、表情が変化した時や、姿勢が変わった時、声色が変わった時などにお声がけすると変化に気が付きやすく、そこからさらに内省に向かうことができます。
6-3. クライアントの許可を得る(とよいかも)
こちらは正直どちらでも構いません。
許可を得てからフィードバックを行う方が丁寧ではありますが、対話のテンポや関係性もありますので、いちいち許可をもらっているコーチの方が少ないかもしれませんね。
ただ、ここぞというときは「あえて」許可を貰います。
厳密には許可をもらうというよりかは、フィードバックしますよという予告をするイメージですね。
そうすると、なにか重要なことを言ってくれると聞く姿勢が出来上がるので、大事な一撃の際はぜひ試してみてください。
6-4. I(アイ)メッセージを使う
「Iメッセージ」を使って、コーチが感じたことを伝えます。
「私はこう感じました」と伝えることで、クライアントが自分の状況を客観的に理解する手助けをします。Iメッセージを使うことで、フィードバックが個人的な攻撃と受け取られることを防ぎ、建設的な対話が促進されることがわかっています。
Iメッセージについては、これだけで1つの記事になるぐらいのテーマなので、また別途解説しますね。
ネタバレすると、「Iメッセージ」「YOUメッセージ」に加えて、コーチングフォワード独自のフレームワークとして「Wメッセージ」というものがあります。
WはWhatの頭文字から取っています。学術的にYOUよりIが理想なのでしょうが、現場ではIよりもWメッセージの方が効果的です。そのあたり、詳しくはまた!
6-5. フィードバックの留意点
フィードバックは短く、具体的に行うことが重要です。
また、押し付けがましくならないよう注意し、クライアントをコントロールしようとしないことが求められます。フィードバックはクライアントの成長を支援するためのものであり、適切な方法で行うことが重要です。
フィードバックを行う際には、次のポイントに留意することが重要です。
- タイミングの重要性:フィードバックは、適切なタイミングで行うことで効果を最大化します。クライアントが自分の行動や思考に気づいた瞬間や、セッションの区切りなどが適切なタイミングです。
- 具体的な内容:フィードバックは具体的であるべきです。抽象的な表現ではなく、具体的な事実や行動に基づいてフィードバックを行うことで、クライアントは自分の行動をより明確に理解することができます。
- 建設的なアプローチ:フィードバックは建設的であるべきです。批判的なトーンではなく、クライアントの成長を支援するための建設的なフィードバックを心がけます。
- クライアントの視点を尊重:フィードバックはクライアントの視点を尊重し、彼らの感情や考えを理解しながら行うことが重要です。クライアントが自分の意見を自由に表現できる環境を整えることで、フィードバックの効果が高まります。
7. まとめ
いかがでしたか?
今回はより実践的なコートんぐの技法に迫りました。
コーチングの基本スキルを身につけることで、自己成長を促し、他者の成長を支援することができます。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
ですが、頭で理解することと、実践で出来るようになることは全く別の話です。
コーチングスキルを向上させるためには、継続的な学習と実践が不可欠です。専門書を読む、トレーニングに参加する、フィードバックを受けるなどの方法を活用しましょう。
また、実際のコーチングセッションを通じて得られる経験や、他のコーチとの交流を通じてスキルを磨くことも重要です。定期的な自己評価とフィードバックを受けることで、自身のコーチングスキルを客観的に見直し、改善点を見つけることができます。
もし、コーチングの壁打ち相手に困っているなどお困りごとがありましたらお問い合わせください。
それではまた次回をお楽しみに!